10年来の相棒逝く
会社で10年近く使ってきたマウスlogicoolM705がチャタリングするようになってきた。チャタリングとはクリックを1回しただけなのに2回も3回も押された状態になってしまう現象だ。つまりシングルクリックしてるのにダブルクリック扱いになってしまい、PC操作の上で非常にストレスフルな状態である。
これは実際になってみると想像以上にまともな操作ができなくなる。何でも機械式スイッチの接点接触時(クリック時)に意図せず微細な振動が起きてしまい、それがクリックと認識されてしまうのだとか何とか。
ラバー部分が加水分解してブツブツができてたり、左クリック部分がクリックし過ぎてツルツルになってたりしてはいたが、10年近く使い込んで初めてチャタリングしたのでよく持ったと言うべきか。ところで人のマウスのクリック部分がテカテカツルツルしてるとあまり触りたくないと思ってしまう。社内でも時々そんなマウスがある。まあそれを使うしかないのだけど。閑話休題。
それから、こういったチャタリングはキーボードでも起きがちだ。というかキーボードの方が発生しやすいまである。以前紹介したHHKBは静電容量無接点方式なので、文字通り接点がない=理論上チャタリングが起きないのだ。そんな所も憧れるぅ。閑話休題2。
さて、チャタリングだが静電気が溜まって起きることもあるらしい。そこで、電池を抜いて放電(何回かボタンをクリック)というのを試してみたが、やはりチャタってしまう。ソフトウェアで2回クリックされた状態を制御する方法もあるようなのだが、ハードウェア的にも限界と考え買い替えようと思ったのだった。
修理を試みる
とは言えチャタリング以外は問題のないこのマウス。修理もせずに白旗を上げるもの癪である。調べてみるとマウスのチャタリングは接点復活剤なるもので直ることがあるらしい。電子工作には詳しくないので接点復活剤というのは初めて聞いたのだが、電気接点部分の汚れを取り除き、薄い被膜を作って電気の流れを復活してくれる補修材ということのようだ。
これまで一度も使ったことがなかったので、わざわざ買うのか迷うが、ホームセンターなどで500~1000円位で買えるようなので買ってみることにした。因みにヘッドフォンジャックやエレキギターのジャックなんかにも使えるようなので、他の使い道もあるだろう。きっと。
また、接点復活剤は物によって金属のみしか使えなかったりするので、裏面の注意書きを確認しよう。上記のKUREの接点復活スプレーはプラスチックもOKと書いてあったので安心だ。
それで修理の方だが、まずは裏面のネジを外してカバーを外す。下図の5か所の赤丸のネジを外せばカバーが取れるが、コネクタが付いてくるのでそれも外す。
中央ホイールの左右にある黒い箱状のものがクリック用のスイッチだ。omron製である。今回チャタリングが起きているのは左クリックなので、向かって右のスイッチを修理する。
ご覧の通り薄い金属の板が設置してある。この真ん中の橋になっている所がカチカチ押されてクリックを判定しているようだ。試しに橋を押してみると手応えがない。これは黒い箱状を外すときに勢い余って少しずれたからのような気がする。位置を調整しようと押したり突いたりしていると、・・・はうっ!板が外れ飛んだ!
元々どう付いていたかしっかり観察する前に弾け飛んだので戻し方がよく分からん。取り敢えずこの板に接点復活剤をスプレーしてみる。検索しても板の設置の仕方を説明してるサイトが見つからなかったので、うろ覚えの記憶で設置してみる。クリック感が戻るどころか二度とクリック感が戻ることはなかった。手先はそれなりに器用なつもりだったのだが・・・。残念だが諦めることにした。
いや、実は諦めきれずに翌日もう一度トライし、今度は右クリックの箱を開けて同じように設置しようと試みたのだった。・・・案の定、右クリックもダメになったーー!ゼロトラストセキュリティってあるがゼロクリックマウスである。あの板何なの。はめるの難しすぎ。一度分解したものは二度と元に戻らないという、これがマーフィーの法則ってやつか(適当)。spilt milkは盆に返らないのである。
悲しんでもいられない。会社で応急処置として有線の安いマウスを使っているが、これが使いにくいことこの上ないので、早急に代わりのマウスを調達しなければならないのだ。こうして筆者はマウスを探すことにした。
久しぶりにマウスを探す
amazonで早速無線マウスを探す。故障したM705は大きさ、重さとも非常にしっくり来ていたので買い直すことも考えたが、折角なので別のマウスにしたい。同じくロジクールのM570というトラックボールマウスも省スペースで使いやすいのだが、会社のデスクが現在はそこまで狭くないのでトラックボールでなくてもよいか。
トラックボールマウスとは親指で王蟲の目玉みたいな玉を動かしてポインタを動かすことができるマウスで、マウス本体を動かす必要がないので狭い場所でも使いやすい。少々とっつきにくいが一度使うと手放せない魅力がある。筆者も自宅で使っており、初めてリピート買いしたマウスだ。流石にFPSでエイムを合わせるのは厳しかったけど(試した)。
話を戻すと、マウスはゲーミングマウスの種類が非常に多くなっている。ただオフィスで使用するマウスなので、軽さやDPIの変更は特に気にしない。主に気にするのはサイズ形状と値段だ。低価格帯には中華製の品質がちょっと心配そうなマウスが多く、1万円超えの高級マウスもあったが流石に予算オーバーだ。なので値段もサイズもミドルクラスのものを探していると、探し疲れた筆者の目に映ったのはエルゴノミクスなマウスだった。因みにマウスを探していると良さそうなものは大体ロジクールなので、ロジクールかそれ以外かみたいな印象だ。確かにロジクールはコスパも良い。
はじめてのエルゴノミクスからの挫折
エルゴノミクスマウス。それは人体工学に基づいたデザインで、手首への負担を減らしてくれる腱鞘炎御用達のマウス。らしいのだが、実際に使ったことはなかった。店舗でモックを触ったことはあったが、ふーんという感じだった。別にマウスを使っていて手首が痛かったりしたこともないのだが、目新しさを求めてエルゴノミクスマウスを買ってみることにした。それで買ったのがサンワサプライのMA-ERGW8というマウスだ。
だが、結論から言うと筆者には合わず1日でギブアップした。人によって合う合わないがあるので筆者には合わなかったようだ。具体的には手首の付け根と前腕部が痛くなってきた。朝使い始めて昼前には痛かったのでどうにもならない。手首が痛くならないはずのマウスで逆に手首と前腕を痛めてしまうとはこれ如何に。
一つの仮説として、筆者の手が長年のノーマルマウス使用によって最適化されており、逆にエルゴノミクスを受け付けないのかもしれない。・・・なわけないか。慣れの問題かとも思ったが、そもそも慣れるまで痛いマウスというのもおかしいわけで。
もう一つ決定的に合わなかったのが、クリックがし辛いことだ。自然に握ったポジションでクリックすると、マウスの先端がブレてポインタが動いてしまうのだ。これはチャタリング並に厳しくて、狙った場所を正確にクリックできないのは非常にストレスである。
マウスが軽すぎるのかとも思ったが、筆者が自宅で使用しているゲーミングマウスは軽くても激しく動かしてからクリックしてもブレたりはしない。だとすると形状と軽さが相まってブレているようだ。先端のえぐれている所に粘土でも貼って重くすればよいのだろうか。または滑りすぎるのかと考えて、底面にテープを貼って滑りを少し悪くしてみたのだが、これも効果がなかった。
掌でマウス後部を押さえつけるように持つと幾らかブレにくくなったのだが、今度はマウスを動かしにくくなってしまった。まあ、そんな不自然な持ち方では使い続けられないのだけど。
良い点としては、ラバー部分がサラサラで肌触りがとても良い。高級感があると思う。それからエルゴノミクスマウスとしてはお手頃価格。ただ上記のデメリットが大きすぎて筆者には合わなかった。
正直1日で諦めることになるとは思っても見なかった。一週間位は少なくとも慣らし運転するつもりだったのだが、痛みが出る、まともに操作できない、と散々だった。無理して使って腱鞘炎になったり極端に生産性を下げていては何をしてるのか分からないので、残念ながら筆者には合わなかったと早々に諦めてお蔵入りにしたのであった。アマゾンのレビューでは腱鞘炎が楽になったとか、疲れにくいとか、結構高評価が多いので合う人には合うのだろう。
灰は灰に
結局その日、泣きながら帰宅した筆者は改めてamazonでマウスを探した。そしてこのマウスを買ったのだった。
そう、壊れたのと同じロジクールM705である。正確には代替わりしている後継機。使ってみると、手首も痛くないし、ポインタも正確だ。そう、これこれ、これを待ってた。重さもサイズもいい感じだ。ちょっと気になったのは、壊れた(壊した)M705は親指が当たる所にもう一つボタンがあったのだが、これが無くなっていたのが残念。正味の話その存在を忘れてあんまり使うことはなかったのだけれど、ボタンやスイッチは多ければ多いほど(使うかどうかに関わらず)うれしいのはSEの性でしょうか。
それから、中央ホイールのスクロール感が少し、なんだろう軽くなったというかチープになった気がするが仕方ないか。中央ホイールだけ換装したろかとチラッと頭をよぎるが、また壊しそうなので止めておく。
気に入っていたとは言え、同じマウスを買うのは保守的に過ぎるかなと思ったが、もう(予算的に)失敗できないし、社内SEの大事なメイン所の商売道具なので良しとした。バッファローのマウスと最後まで迷ったけど。因みに注文してから届くまで数日の間は頑張ってエルゴノミクスマウスを使い続けていた。しかし、手首は痛いままだった。
編集後記
初めてトライしたエルゴノミクスは残念ながら筆者には合わなかった。幸い腱鞘炎ではないので、これからも普通のマウスなりトラックボールマウスを使っていこうと思う。エルゴノミクスの難しい所は、店舗のモックやレビュー動画でもここまでは分からないことだ。実機で自分が使ってみて初めて分かることもあるのだ。
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